国土地理院発行の
土地条件図(大阪東南部)によると、山地部は傾斜35度以上、所により40度の極急斜面が発達し、西方に流下する急勾配の渓流が多くみられます。渓流のほとんどは恩智川水系の土石流危険渓流に指定されています。
山麓の台地は標高50〜130m付近に発達し、古墳群が散在しています。扇状地は標高50m付近より下方に発達しており、西側末端の外環状線付近まで連続しています。
扇状地内の沢筋にはため池が多く、その一部は埋めたてられて宅地となっています。扇状地の西側は氾濫平野が広い面積を占めて市街地が形成されています。
平野内は天井川化した玉串川、長瀬川が北〜北西に流れています。流域には微高地や自然堤防が顕著に発達しています。自然堤防の間には後背湿地も点在しているようです。
山地部の地質は、ほとんどが中生代白亜紀の花崗岩類(岩相、貫入関係によりいくつかの岩体に区分されています。)で構成されています。
山麓の台地、扇状地は洪積層、段丘層とよばれる比較的密に締まった礫質土よりなり、下位には第三紀鮮新世後期〜第四紀更新世中期の大阪層群が分布すると考えられます。
扇状地は比較的締まった礫質土にゆるい砂や粘土を細かくはさみ、層相変化の激しい地盤となっています。
平野部では沖積層とよばれる未固結のゆるい堆積物が上層部を覆い、下位には洪積層が分布しています。八尾市街では、沖積層の厚さは10〜15m程度ですが、北の東大阪市内では50mに達するところもあります。大きな建物の基礎は、洪積層を支持層とする杭基礎が採用されています。
生駒断層は、八尾市神立付近他で
断層露頭が確認されていますが、ほとんどが段丘層や扇状地堆積層に覆われてみることができません。
台地や扇状地内では断層崖と考えられる段差地形がみられます。おそらく主断層から派生した断層が何本か存在するものと考えられます。実際にはかなり複雑な構造をしているものと推察されます。
参考ですが、生駒断層の最新活動時期は1600〜1000年前、今後30年以内の活動確率はほぼ0〜0.1%といわれています。なんだか気の遠くなる数字ですが、今後30年の間に地震が発生する可能性が、我が国の主な活断層の中ではやや高いグループに属するそうです。詳しくはこちらのサイトを参照ください。
(
地震調査研究推進本部、
活断層研究センター 上町および生駒断層帯)
防災の面では、山地においては急勾配渓流での
土石流発生が問題となります。砂防堰堤は、一部の渓流で設置されていますが、かなり古いものが多く、ほとんどが満砂状態で機能していないように思われます。
今後、異常気象により記録的な豪雨となった場合、
山腹崩壊、
土石流発生の可能性は極めて高いものと判断されます。
また、低地部の河川は天井川化しており、増水時には後背低地の
浸水が懸念されます。河川沿いには
微高地や
自然堤防が形成されていますが、このような場所は表層に締まりのゆるい砂層が分布しており、地下水位下の砂地盤は地震時の
液状化が予想されます。
災害はいつやってくるかわかりません。万が一の事態を想定して、災害にあったらどうすればよいか、一度考えてみることも必要でしょう。